うつと過食とパニックと、何とか生きてきてこれからも生きてく

うつ、過食、パニック発作と一緒に生活しているアラサーのブログ。何とからく~に力を抜いて生きていける道を模索中。

世界仰天ニュース クレプトマニア(窃盗依存)を見て

3月30日、世界仰天ニュースの4時間スペシャルをやっていましたね。
仰天チェンジという事で、ダイエットに成功した方のbefore afterも見ることができるので、なんとなく見てしまいます。
自分も痩せられるんじゃないか?と少し嬉しくなります。

 

昨日は友人の自宅にいたので、そこでTVを見ていたのですが、
クレプトマニア(窃盗依存)についての放送があり、見入ってしまいました。

 

・紹介されていた事例(うろ覚えなので違うところがあったらすみません)

夏子さん(仮名)はアパレル関係で仕事をしており、周りのスタッフがスタイルが良いことから、ダイエットを始めます。
アパレルってきらきらしていて、顔もスタイルも綺麗な方が多いけれど、なおかつ接客や売上などストレスも多い大変な仕事なのでしょうね…。

 

夏子さんは「痩せてきれいになったね」と言われるのが嬉しくなり、食事制限を極度にしていくようになります。夕飯はグレープフルーツと豆腐だけ。
ある時、スーパーにグレープフルーツを買いに行った時、極度の空腹感に襲われ、レジに行くのも待てず思わずフルーツをかばんに入れてしまいます。スーパーを出て我に返った夏子さんは、「すみませんでした!」と自分から店員さんに万引きを申告します。これが初めての万引き。

 

それ以降は、たがが外れたように、空腹感にまかせて過食→太りたくないので嘔吐、と過食嘔吐が始まります。摂食障害です。気持ち悪くなるまで嘔吐できない体質だったため、お給料がほとんど大量の食糧に消えていきます。「どうせ吐くのに…もったいない」そんな思いが出てきたそうです。「万引きは犯罪」という事はもちろんわかっている。

 

そんな状態が続き、夏子さんは菓子パンを万引きしてしまいます。その時はとってもどきどきし、汗が出て、罪悪感が強いのですが、店員にばれずに自宅に帰った時、緊張がとけどっと座り込んだそうです。この緊張状態→緊張がとける感覚、つまり報酬物質が出る感覚を、脳は覚えていってしまいます。

 

ほとんどの食糧を万引きするようになった夏子さん。お金がないわけではないのに。
しかしある日、店員に見つかり逮捕されます。「大変な事をしてしまった…もうやめよう」そう心に誓ったそうです。母に連絡が行き、「なんて事を…」と言われる。その後しばらくして母は病気で亡くなったそうです。

 

その後夏子さんは、結婚、出産を経験。その間しばらくは万引きはしていなかったそうです。
しかし仕事を再開し、重要な役目をまかされ、ストレスがかかった時、ふと、衝動がおそってきたそうです。スーパーで、以前万引きした菓子パンを見て、夏子さんは万引きをしてしまいます。
しかしまた店員に見つかり、逮捕。動揺する夫や子供を見て、夏子さんは自分を責めます。

 

そしてやっと、この間何年の月日があったのかわかりませんが、夏子さんは友人に今までの事を相談します。友人は心配し「精神的な病気じゃないか?」と提案し、夏子さんはようやく、クレプトマニアという依存症があることを知り、病院につながるのです。

 

番組を見ていて、ああ、この気持ちすごくわかるな、と思う場面が多くありました。

全員がそうではありませんが、依存を持っている人は、依存を併発しやすいものです。摂食障害、アルコール依存、薬物依存、ギャンブル依存、買い物依存、万引き、セックス依存、自傷など。これらを同時に抱えていたり、一つの依存から別の依存に対象を変えることもあります。

そして一見、仕事や生活に支障はないように見える人が、そのストレスフルな生活を何とかやっていくために、依存するようになるという事です。
アダルトチルドレン」の概念を提唱したクラウディア・ブラックの著書、『もちきれない荷物をかかえたあなたへ』では以下のような記載があります。

「傷ついた人は、その傷をやり過ごして生きていくために、たくさんの荷物を詰めて生きていくようになります。その荷物とは、様々な嗜癖(依存)です。最初はそれでなんとかやっていくのですが、どんどんその荷物は重くなっていきます」

 

もちきれない荷物をかかえたあなたへ―アダルト・チャイルド、そして摂食障害・依存症・性的虐待…いくつもの課題をのりこえる生き方の秘訣

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依存は生きていくための術の一つでもあるのです。しかし依存が徐々に進行すると、生活するために依存していたのが、依存の対象が生活の全てになっていきます。
また、依存による興奮や快感が脳に回路を作るため、「気持ちの問題」ではなくなります。「やめよう」と決意するだけではやめられないのです。

 

この間、数年~10年以上の長い期間、生活のストレスや依存そのもののストレス、罪悪感などと戦い苦しみながら人は過ごします。
これは私の感覚なのですが、この間、他者に「苦しい」という事を言えない(言わない)人が多いと思います。そもそも言える性格だったり、安心できる関係性の人がいれば、依存はそこまで深く進行しません。
「こんな惨めな自分は恥ずかしい」という感覚や、「話して、気持ち悪いとか、そんなこと相談しないで、とか、否定されたらもう生きていけない」というような感覚があります。だから、依存をもつ人は秘密が多くなります。

斎藤学さんのメッセージ「母の承認ということ」から引用しますが、

"寂しさから嗜癖が生じると前に言いました。そこで言った寂しさとはこの種の対人恐怖症的な寂しさです。嗜癖者が食物やアルコールに手を出すのは、これらのモノとの付き合いであれば、自分が承認される、されないという恐怖から逃れられるからです。「冷蔵庫はしゃべらない」し、「酒瓶は要求しない」からです。"

http://www.iff.co.jp/ssworld/mssg/mssg_1.html

 

そしてお金がなくなる、体を壊す、逮捕される等で生活が破たんして、初めて家族などに知られたり、医療機関につながる事になります。
ですがそれで治って終わり、ではありません。治療に乗ることができず依存を再発する事もあれば、回復が始まっても、それは途方もない1日1日の積み重ねなのです。

 

私が感じた、夏子さんのケースの嬉しい点
・理解のある旦那さんがいる事はとても大きいサポートになりそうです。今は万引きをしないように、なるべく一緒に買い物に行き、レシートと買ったものを一緒に確認するそうです。全てがわかりあえなくても、今までの秘密を明かして、それでも一緒に生活してくれる人がいる事は、とても温かくかけがえのない事です。

 

・夏子さんが自分の経験を「語れる」ようになっている事。依存症以外でも、PTSDや、機能不全家族に育ち生きづらさを抱えている人は、回復の過程で、自分の物語を語れるようになっていくそうです。秘密を打ち明けられる、自分の中で、混沌とした傷やその記憶に整理をつけられるようになってくる、という事なのでしょうか。

 

私はまだまだ、過食もしているし、他者に話す、という事はできていません。家族にも、友人にも、精神科の主治医にも、過食や、死にたい気持ち、他にもたくさん困っている事がある、という事は全く話せていません。特に家族には、仕事を辞めたことすら話せていません。

それでもまずは、こうやってブログに書くことが、少しずつ自分の物語をまとめていく一歩になっていると思います。

 

そして誰に、どこまで話すか、という事も、自分で決めていいのですが、やっぱり全てを一人で抱えていると、やがて重さで歩けなくなります。一部分ずつ、いろんな人に少しずつ、話せるようになるといいのかもしれません。
今後、自助グループに行ってみようかな?と思っているので、また報告しますね。

 

そして医療機関につながる事も、とても大切な事だと私は思います。
もちろん医療機関にも色々なスタッフがいて、色々なクリニックや病院があって、本当に様々です。
例え、一つの病院で心ない言葉を言われても。薬をどばっと出されてしまっても。
諦めずに、別の病院に相談しましょう。味方になってくれる医療スタッフは必ずいます。
そして依存や、その根っこの問題や、依存にまつわる気分の落ち込み、体調不良、死にたい気持ち、これらにはやっぱり医療機関での治療が役立ってくれると思います。
私も最初は「とうとう精神科にかかってしまった。自分は頭がおかしいんだ。」とショックを受けましたが、そんな事はないんです。精神的な不調は、脳の不調であり、他の体の疾患と同じです。症状を楽にするために病院に行きましょう。

 

夏子さんの事例では、赤城高原ホスピタルが紹介されていました。HPに体験談なども載っているようで、気持ちに余裕がある時に、読んでみます。

http://www2.gunmanet.or.jp/Akagi-kohgen-HP/Kleptomania_messagefromrecovered.htm

 

TV番組だけど、「自分だけじゃないんだな」と思えたひとこまでした。